健全な生活トップ > アジアの国々の歴史 >ブータンの歴史


    <ブータンの歴史>

    ブータンという名前は古代のインドの言葉で、「地の果て」という
    意味にあたる「Bhotanta」から由来しているといわれていますが、 
     定説はありません。ブータンの人々は自分たちの国のことを
    デュルック・ユル(Druk Yul)=穏やかな龍の地と呼んでいます。
    デュルック(Druk)は龍という意味だそうです。

    最も古い記録では、既に1400年程前には、先住民族が各地に散らばって
    定住していたいたそうです。紀元747年グル・リンポチェ(Rimpoche)
    として知られる、インドの高僧パドマサンバヴァ(Padma Sambhava)
    が、雌の虎の背中にまたがり、空を飛び山々を越え、チベットから
    やってきたという伝説が残っています。このグル・リンポチェは第二
    のブッダとも言われ、ブータンではその後、仏教が広まりました。

    しかし、12世紀から17世紀にかけて、ブータンは仏教諸派乱立の時代を
    迎え、勢力拡大競争に伴う混乱が生じました。そのため、この時期の
    ブータンは各地方ごとに仏教勢力が入り乱れ、中央統一政権は存在せず、
    いわゆる群雄割拠の時代でした。

    1616年にチベット密教の一派である、デュルック派のチベット人ラマ僧、
    ンガワン・ナムゲル(Shabdrung Ngawang Namgyal)がブータンに招かれ
    宗教的に厳正な政府と、非宗教的な政府を合わせ持つ、現代の国家体制
    を考案したそうです。彼は政治権力においても宗教権力においても、
    事実上ブータン初の指導者となりました。1651年に亡くなりましたが、
    彼の死後5年もたたないうちに国家すべてが中央政府の元に統治され、
    デュルック派は宗教的にも民事的にも権威の中心となりました。

    しかし、その後の2世紀の間、内戦状態が続きました。また、加えて、
    1864年のドゥアール戦争では、イギリスとも衝突します。この間に、
    地方の豪族がだんだん力を持つようになっていきました。19世紀の末、
    中央及び東ブータンを統制していた、トンサの豪族が、最大の敵である
    西ブータンを統制していたパロの豪族に勝ち、ブータンの総合的な
    指導者になりました。そして、トンサの豪族であるワゲン・ワンチュク
    (Ugyen Wangchuck)が宗教、政府、人民の代表となりました。1907年
    にブータンが改めて統一され、初の国王に選ばれました。

    以後王制は栄え、現在も初代国王の曾孫(ひまご)にあたる
    ギグメ・センゲ・ワンチュク(Jigme Singye Wangchuck)が圧倒的な
    力で人民を統率しています。現国王は16歳で即位し、現在に至るまで、
    自国の伝統文化と自然環境を大切にしながら、急ぎすぎない改革を
    めざしているそうです。ブータン独自の尺度GNH(グロス・ナショナル・
    ハピネス: 国民総幸福量)を指標に、国民の幸福、国の発展を図ろうと
    しているそうです。今は、南部のネパール系の移住者に関する問題や
    西洋文化の流入による、独自の文化の消滅の危機に直面しています。

    <ブータンと日本との関係>

    ブータンと日本は、1986年に国交が樹立したものの、どちらも
    相手国に大使館・領事館を持たず、双方の在インド大使館が外交の
    窓口となっているそうです。民間の交流や国連を通じた開発援助など
    の友好関係は正式な国交樹立以前からありました。

    特に1964年には、ブータンの要請を受けて、農業専門家として、
    西岡京治氏が派遣され、ブータンの農業開発に尽力したそうです。
    彼は専門家として活動中の1992年、現地で急逝し、外国人として
    唯一「ダショー」(高貴な人)の称号を国王から授与されました。

    一方、ブータンからも、正式な国交樹立以前からの来日もあり、
    競技会や博覧会などに参加しています。1990年に大阪で開催された
    「花と緑の博覧会」にも参加して、国花の「青いケシ」とブータン
    風に建てられたパビリオンが注目を浴びました。パビリオンは、
    博覧会の終了後、香川県にあるテーマパーク「レオマ・ワールド」
    に移築されているそうです。

    1988年から青年海外協力隊の派遣が始まり、在留日本人の数も次第
    に増加し、2004年で、ボランティア技術援助関係者等、100人近い
    日本人がブータンで生活しているそうです。