難問について考えるトップページ > 悩んだ時のメッセージ > 得意の型を持つために


  自分の得意の型について考えてみます。

  「自分の得意の型」、というものを持っているのと
  持っていないのでは、大きな差が出ます。

  自分の得意の型とは、問題がおこったとき、または、
  必ず結果を出さなければならない時に、私は、”いつも
  こうする”、そうしたパターンのことです。

  いわば、自分の得意の型とは、自分の守護神です。

  どのような分野でも、うまくいっている人には、大てい、
  そのような、自分の得意の型というものがあるものです。


  例えば、野球選手でしたら、追い込まれた後の、カーブを
  打つのが得意とか、短距離の選手でしたら、スタートから
  の加速で逃げ切るとか・・・

  サッカーでしたら、前半は守りきり、点を与えず、最後に
  少ないチャンスでゴールを決める・・・など。


  他にも色々あります。得意の型に持ち込めば予想以上の
  力が出るものです。

  スポーツの場合は、プレーする時間が、限られているので
  自分の得意のパターンが、分かりやすいのです。また勝ち
  負けという結果がはっきり出るので、そのパターンが、
  本当に有効かどうか、さらに分かりやすいわけです。

  けれども、毎日の生活では、よほどのことでない限り、
  自分の得意のパターンを意識することは、ありません。

  また、もっと長い目で、人生というものを考えてみると、
  時間が限られているように感じることは普通はないので、
  自分の得意の型が何か、自覚するのは簡単ではありません。


  ”自分の得意の型”は、人によっても違います。

  例えば、いつも追い込まれてからスタートして、集中して
  仕事を仕上げるのが得意、そういう人もいるでしょう。

  反対に、短期的に見れば、成果は上げるのが苦手で、   
  チャンスをつかみ損ねることも多いけれど、長期的に見れば、
  いつの間にか、大きな成果をあげるのが得意、という人も
  いるでしょう。

  いずれの場合でも、”自分は、いつもこうしたらうまくいく”

  そういった、自信のある型、人とは違うけれども自分で
  自信を持っている型、を持つことは非常に重要なのです。

  それは、得意の型を持っていると、たとえ、難問にぶつ
  かっても、何とかして、自分の得意の型に持ち込めないか、
  考える余裕、ゆとりが出来るからです。

  慌てたり、落ち込んだり、悲観しなくて済みます。

  ここで、一つ、注意しておかなければならないことがあります。

  それは、自分では、”型”だと思っていても、実は、それは、
  単なる、自分の”癖”である場合です。


  ”型”というものには、無理がありません。

  それでいて、大きな力を持っているものです。一般的な
  ものではなく、多くの場合、個性的、独創的なものです。

  そして、同時に、独創的であっても、決して、自然の理
  からは外れていません。その人にとって、合理的です。

  一方で、型ではなくて、”癖”の場合では、本人には、
  楽な場合も多いのですが、”型”とは違って、大きな力を
  持たないばかりか、その人の妨げとなる場合も多いものです。


  それは、単なる”癖”は、自然の理から外れていることも
  多いからです。入るべきところには、力が入らず、無駄な
  部分には、力みや偏りが入っているものです。


  自分の”型”を持つのには、長い時間がかかります。
  天才であっても、必ず壁にぶつかります。その時は、
  やはり、根気強い、意識的な繰り返しが、必要です。  

  一方で、”癖”をつけるには、それほど時間は要りません。
  また、意識していなくても、気がつけば勝手に身について
  くるものです。正しさは考えずに、やりやすさだけを、
  追い求めていれば、自然に苦もなく身につきます。

  ”癖”をつけるのは、楽、なのです。
  でも、癖で作業をするのは、”苦しい”のです。
  思ったような結果は、出にくいのです。

  その一方で、

  ”型”を作るのは、決して楽ではないのです。
  でも、型でする作業は、”楽に”出来るのです。


  手を抜いて身についてしまうのが”癖”自然に、
  無意識に身につきます。

  一方、身につけるのに、手がかかるのが、”型”。
  特に、得意の型をつくるには、ある程度の段階に
  なると、常に意識することが大事だと分かります。

ですから、

  ”自分の得意の型を持ち、活用する”という意味は、
  意識的に、自分の得意の型を発見し、かつ、日常生活
  の中で、習慣になるまで、繰り返し身に付けて実際に
  使ってみようということです。



  #このように書くと、堅苦しく聞こえるかもしれません。

  でも、気を落とさなくても大丈夫です。


  ”自分の得意の型”とは、その型で、作業をした時、
  自分には無理がなく、かつ、成果も上がり効力を持つと
  いうパターンのことです。

  つまり、

  苦しいものでは、”自分の得意の型”としては失格です。
  疲労感だけが残るものは、得意の型ではありません。

  たとえ、一時的に成果が上がるようなパターンでも、
  自分にとって、疲労感だけが残るようなものは、自分の
  型とは言えない訳です。

  無理がなく、かつ、効果的なパターン、自分だけに
  合ったやり方、自分で自信を持って出来る方法を早く
  見つけることです。

  そうした、”自分の得意の型”を持つことが、難問に
  遭遇した時でも、何とか出来るという、良い意味での
  自信になるのです。



体は、たとえるならば、楽器のようなものです。
  その人に合った、波長というものがあるのです。

  自分に合った波長を出すことは、楽器が、その楽器の
  得意の音色を出すのと同じことなのです。

  太鼓には、太鼓の、バイオリンにはバイオリンの波長が
  あるのです。生まれつきに持っているものです。

  自分が気持ちよく感じる波長を探してみます。
  そのためには、意識的に探さないと難しいものです。


  結果的に、思いがけないところで、自分の波長に出会うこと
  になるかもしれませんが、いつも求める気持ちでいることが
  大事なのです。それが、自分の波長探しのきっかけになり、
  自分の波長を見つける入り口に立つことになるからです。


  人に合わせる必要はなく、オリジナルの波長で良いのです。
  もちろん、人と調和することは大事なことです。

  自分の波長を保ちながら、人と調和する方法を考えてみま
  しょう。時には、人の波長にかき消されない、負けない強さも
  必要となります。まずは、自分の波長を安定させてみます。
  

この自分の波長探しは、地道な作業になります。

  必要だからと言って、一日で、身につくもの
  では、ありません。でも意識すれば見つかります。

  では、手始めに、何をどうすればよいでしょうか。

  次に、”自分の得意の型”探しについて考えて見ます。


  自分の型が分からない時には、あまり考え込まずに、
  色々な方法を試してみます。行動して試している
  うちに、自分に適した方法、得な方法が、何となく
  分かってくるはずです。

  手当たり次第といえば、良くない感じがしますが、
  色々試すのは、初めの段階では貴重な経験になります。


  能力開発の場合を例にしてみましょう。

  最近では、自分の能力の開発のための道具が、色々と
  考案されて販売されています。これも流行でしょう。

  良く耳にするところでは、速聴や、速読、そして、
  集中力を高めるためのイメージトレーニング、右脳の
  使い方、等など、本当に色々な手段があります。

  どれが、一番効果的か、単純には比較出来ません。
  また、全ての方法を実験した人はあまりいないでしょう。


  それなりに、効果があるものから、努力の割に
  効果がでないもの、色々あるかと思います。

  特に、こうした、神経・脳科学の分野というものは、近頃
  急速に発達してきましたので、これからも、まだまだ、
  能力の開発に役立つ方法も、見つかることでしょう。


  実際の効果は、さておき、結局、大事なことは、

  ”どのような方法が良いか?それは、状況や、
   人によって、様々であり、一定ではない ”

  ということです。決して、マニュアルどおりには
  いかないし、一般的な方法から初めて、やがては、
  その人の独自の方法でするのが、一番、強力です。
  

  もう一つ大事なことは、

  ”手段は、あくまで、手段である”ということです。

  目的があって、手段が見つかります。目的がはっきり
  しているほど、手段も選びやすいものです。また、
  目的が曲がっていると、手段もおかしくなります。

  目的を少し高めに設定すると、手段(方法)も
  より良いものが見つかる確率が高まってきます。


  このように考え出すと、自分の得意の型を探すのは
  なかなか難しいものだと思われてきます。
  でも、それでも良いでしょう。初めから、完璧な
  ものは望まないことです。まずは、試行錯誤です。


  自分が満足出来る目的を得るためには、どの方法や
  スタイルが自分に合っているのか?

  実際に、試しながら、自分の環境や好みにあった
  方法を見つけて、使うようにすることです。

  目的は人によって違いますが、手段も千差万別です。
  ある人にとっては良い方法でも、他の人にとっては、
  適していないな方法もあるのです。

  でも、まず選択をしなければ、どのようにしても、
  少しも進むことは出来ませんので、自分の直感で、
  効果がありそうな手段を選びましょう。まず実行です。

  良い方法がまったく見つからないような時には、
  まず最初は、こうして、既にある方法を試し、自分に
  あったものを選択するというのも、有効な方法です。


  また、その方法の効果をみる時の注意点ですが、
  ある程度、効果が実感出来るようになるには、
時間や手間がかかるものもありますので、
  試す時には、いくらか時間に余裕を持って臨むことも
  大事になります。


  そして、もう一つ、自分の得意の型を見つけるための、
  効果的な方法というか、心構え、があります。

  大事な心構えが2つあります。

  一つ目は、自分の得意の型を発見するためには、何かに
  ”本気で集中して打ち込む”という姿勢です。無心で、
  作業に専念しているとき、土壇場で、偶然に、自分の
  得意の型を発見することも決して少なくはありません。

  偶然の発明、発見など、その良い例になります。

  何かに、熱中している時ほど、ひらめきやすいのです。

  得意の型も、見つかりやすい状況になるのです。
  無欲で、無心で作業をすることは全てに共通します。


  これは大事なことなので、もう少し、説明します。
 
  偶然が起こることを、漠然と期待していても、それは、
  なかなか、思うようには行かないということです。

  では、どうすれば偶然が起こりやすいのか?
  と言いますと、
  
  何かの作業に、集中して打ち込むことです。集中して
  作業するときに、そして極端な時には、その時の自分の
  能力の限界に近い、修羅場でこそ、得意な型が生まれ
  やすいともいえるようです。

修羅場といえば極端になりますが、作業が何であれ、
  日常の生活の中で、今自分が、必ずやり遂げないと
  いけない作業、もしくは、今の自分でも出来る作業に、
  気持ちを集中させて、心を込めて打ち込むことです。


  やりやすいこと、レベルは高くなくても、今の自分
  が理解して、出来ることに意識を集中して、無心で
  作業をしていると、よく、まったく予想もしていなかった
ところから、難問の解決に、助けになるような
  情報が入ってくることがあります。

  
  いつ偶然が起こるのか、それは分かりません。

  でも、”偶然が起こりやすい状況”を、自分で用意
  しておくこと、それは、意識して出来ることです。

  ”偶然が起こりやすい状況”とは無心の状態の時です。
  集中して作業をすることによって、自分の得意の型が
  見つかることを、期待してみましょう。


  長くなりましたので、短くまとめますと、 

  ”意識的に”、自分の得意の型を探そうと心掛けること。

  繰り返し、繰り返し、今ある方法を試し、また、目の前の
  作業に心から、本気で、集中して打ち込むことです。

  そのように意識し、行動を繰り返すことで、その経過は
  人によって違いますが、不思議と、自分の得意の型の
  原型のようなものが出来てきます。不思議な作用です。
  (私はこの不思議も、連続性の不思議、と呼んでいます)
 

  #得意の型をつくるのは、大変そうだし、自分には
   ハードルが高すぎる・・・

  決して、そのように堅苦しく、考えないことです。

  自分から苦しまないこと。それより、楽しく出来る
  ように作業を心がけることです。
苦しいものは、”自分の得意の型”としては失格です。


  無理がなく、かつ、効果的なパターン、自分だけに
  合ったやり方、自分で自信を持って出来る方法を早く
  見つけることが、難問解決に大きな力となります。

  2つ目の、大事な心構えがあります。

  それは、”小さなことでも、最後まできちんと
  仕上げる気持ち”です。

  自分の得意の型というものは、身近の小さな課題を、
  結果が出るまで、工夫して取り組むという習慣の中で
  磨かれ、出来上がっていくものだからです。

  小さな課題だといっても、あなどってはいけません。
  小さな課題でも、最後まで仕上げるには、大変です。

  しかし、最後まで仕上げると小さな自信が出来ます。


  自信をつけるためには、小さな自信を、積み重ねる
  ことが効果的です。たとえ、小さなことでも、
  うまくいった体験をすると、次に、もう少し大きな
  ことでも、頑張れば、今度も出来るかもしれない、
  と考えられるようになります。

  ですから、初めから大きな課題に、挑戦するより、
  まずは、小さな課題をしっかりと仕上げること。


  その反対の時もあります。失敗した時です。

  一度、小さな失敗をしたり、恥ずかしい思いをすると、
  自信を無くして、次にもう少し難しい問題に出会うと、
  避けて通ってしまうものです。そして、いつまでも、
  失敗を繰り返すような人間になってしまうことがあります。

  これが、自信について、大きな差になっていくのです。

  つまり、

  一度成功すると、今度も大丈夫だろうと、前向きの
  思考パターン(自信)がさらに強まるのに対して、
  消極的な人は、自信がないために、行動を避けて
  とおるようになり、結果的に経験が足らなくなって、
  また、失敗をして自信をなくすという悪循環に入って
  しまいがちだ、ということです。


  自信と勇気は、表裏の関係になっています。
  自信がある人は、勇気も出ます。逆も同じです。

  難問に立ち向かおうとする勇気は、今までの自分の
  自信と経験から生まれると言っても良いでしょう。

  得意の型と、自信とも、表裏一体の関係です。
  得意の型がある人は、自信もあり、反対もまた同じです。

  こうした自信や、勇気をつけるためには、小さな
  ことで、成功する体験を積み重ねることです。

  そのように、自分のいる環境に対して、丁寧に適切に
  うまく適応して、自信もつけてく過程で、自然に、
  ”自分の得意の型”も見つかってくるものです。

  小さなことでもおろそかにせず、きちんと、結果が
  出るように、最後まで、丁寧に問題に向き合うことです。

  自分のいる環境に対して丁寧にうまく適応し、自信を
  つけてく過程で、自然と、”自分の得意の型”も見つ
  かってくることが多いものです。


  ここで、天才について補足しておきます。

  今まで説明したように、自分の努力で、後天的に、
  自分の得意の型を発見し、また身に付けていくことが
  多いのですが、時には、先天的にすでに、得意の型を
  持っている人がいるのも、また、事実と言えます。

  生まれながらの天才、生まれながらの才能です。


  この、”先天的な得意の型”は、実は、自分でも、
  それが、何なのか気がついていない場合が多くて
  持っていても、自分では見えないものがあります。

  大抵、誰でも、一つや二つ得意な型を先天的に持って
  いるそうなのですが、しかし、実際に、問題解決に、
  有効に使っていなければ、せっかくの得意の型も、
  活かせません。使わないものは、持っていないのと同じです。


  天才は、意識していない人が多いのです。しかし、
  凡才は、得意の型を、苦労して身につける分、
  意識が出来ているところが、強みです。

  あわただしい日常に埋没してしまいがちですが、
  時には、心を静めて、自分の得意なことは何か、
  再確認をしながら、自分の型を見直します。

  過去のうまく行ったときのことを思い出してみたり、
  じっくり、その時の行動パターンを考えて見るのも
  良いことだと思います。

  難問解決に向けて、大きな助けになるでしょう。


  最後に、

  結果というものは、意外性のあるものです。

  #当てにしていたのに、当てが外れた、
  
  逆に、

  #当てにしていなかったことが、かえって
   助けになった、

  そういうことがしばしばあるのです。

  自分が得意ではなかったことが、逆に、自分の
  得意とする武器に変わってしまうこともあります。

  もし、得意の型が見つからなかった時は、逆に
  自分が不得意なものは何か、考えてみるのも良い
  かもしれません。

  ひょっとすると、将来、自分の得意の型の一つ
  になる候補かもしれません。    

  それは、病気がちだった人が、体に意識を向け、
  人並み以上に健康への配慮をして、人並み以上の
  健康を手にする時や、お金に不自由だった経験が、
  人並み以上の経済力を身に付ける方法を手にする
  時など、数え上げればきりがありません。
  
  将来の”自分の得意の型”候補を探してみましょう。