難問を考えるトップページ > 悩んだ時のメッセージ > なぜ自己管理なのか

  自己管理と言いますと、かたい言葉です。

  出来ればしたくない。

  目にするのもつらい・・・嫌だ! 

  そういう方も多いでしょう。

  当たり前のことですが、自己管理とは、とても
  大事なことなのです。

  自己管理とは、”分かっていても、止められない”自分の
衝動の調整なのです。自分のコントロールなのです。


  本来、自己管理とは、自分を守るためのものです。

  本当は、喜んで自分のために、自分から進んで
  したいはずのものなのです。決して、避けたいもの
  ではないはずです。

  それでも、やはり、自己管理というと、何となく、
  人から無理に強いられているような、どこか、
  そうした、強制的なイメージが湧くかもしれません。

  自己管理というと、普通の人には楽しいこととは
  反対の、苦痛を伴う物と感じられるかもしれません。

  まず、そうした考え方を、少しだけ変えてみるのが
  初めの一歩。意識を変えることが出来るでしょうか。


  突然ですが、もしも、今、私達が、王様だとします。

  別に、王様でも、権力者でも、何でも良いのですが、
  つまり、私達が、”思い通りに出来る力を持った人”
  だと考えてみます。

  王様は、自分の国の富を手にしているのですから、
  望めば大ていのことは、叶えられるのです。

  長く続けば、素晴らしいことです。

  王様は、当たり前のことですが、自分の権力を
  これからも、ずっと維持したいと考えるでしょう。

  その時に、必要なのが、”自分の国を管理する力”です。


  王様が、自分の国の富を、美味しい食べ物や目先の
  快楽だけに費やしてしまったら、一体どうなるでしょう?

  王様は、初めは楽しいし、順調に進むかもしれません。
  しかし、やがて、貧しい生活に苦しむ国民の反乱を恐れて、
  生きた心地もしない毎日に変わるかもしれません。

  周囲の国との外交をおろそかにして、反発を招いたり、
  するようなことになるとどうなるでしょう。

  自分の国の力をつける努力をしないために、まともに相手
  にされなかったりそうした場合には、どうなるでしょう?
  最悪の時には、他の国から侵略されるかもしれません。


  ここで、たとえ話を、元に戻します。

  たとえ話としましたが、実際に、私達は、自分という
  体や心の王様なのです。

  自分以上に、この世界で自分のことを、一瞬の隙もなく、
  支配出来る人は、他にいませんから。

  自分の今の状態、そして、これからの状態は、運が作用
  することもありますが、やはり、基本的には、自分自身が
  コントロールしているのです。

当たり前ですね。当たり前ですが、このことを意識して
  生活するのは、決して簡単ではありません。


  ですから、自分の体や、心への気配りが足りない時には
 自分で結果を受け入れないといけなくなるのです。

  無理がたたると、怪我や病気になってしまいます。

  自分の財布の中身は、国の予算と同じです。
  予算の管理をずさんにしたりしていると、国の危機、
自分が万一の時に有効にお金が使えなくなります。

  自分の時間の使い方は、いわば、自分の国の将来が、
  かかっているようなものです。予定を立てずに、気ままに
  毎日を送っていると、他の国に遅れをとってしまうばかりか
  その国の将来は明るくない、と言わざるを得ないでしょう。

  それは、困ります。そのような王様は困り者です。


  では、どうしたら良いのか、考えてみます。つまり、
  どうしたら、少しでも自己管理が、無理なく、そして
  楽しく出来るか考えてみます。


  そのヒントは、秋期のテーマと深く関係しています。
  春期から秋期まで、進んできた道筋を思い出してみます。


  春期には、まずゆっくりと、心や体を心地よく刺激して、
  気持ちよく作業にとりかかり、そして、小さな習慣を
  作っていく方法を説明しました。

  続く、夏期には、ヤル気が消えないように、毎日の作業を
  記録し、整理し、マニュアル化し、チェックする方法を、
  具体的に説明しました。

  春期と夏期で、よい習慣が出来れば、大抵のことは、
  うまく行くように感じられるでしょう。

  でも、例外があって、難しい問題も発生します。

  これからの、秋期には、毎日の習慣では、どうしても
  手におえないような難問に対する心構えや、具体的な
  対処方法を探って行く予定です。


  この秋期で最も大事になるのが”あきらめないこと”
  ”あきらめない習慣をつける”ことです。

  そして、”あきらめない習慣をつける”ためには、普段
  から、”忍耐強くなるための考え方をすること”を
  習慣にすることです。

  忍耐強くなるための考え方とは、自分のことを”本当に”
  自分のことだと考えることです。全く、当たり前過ぎ
  ますが、自分のことは決して、人ごとではないのです。


  ”自分の責任者は自分”ということです。

  ここで、もう一度、自己管理という言葉に戻ってみます。


  自己管理という言葉には、何となく、人から強制されて
  いるような、不快な感じがするかもしれません。しかし、
  元々、自己管理とは、私達の権利なのです。

  自己管理が不快に感じられる原因は、自分のことは大抵
  自分で出来るという、素晴らしい権利を忘れて
捨ててしまっていることでもあるのです。

  ”自分のことは、決して、他人事ではない”のです。
  実際、私達は私達の国の王様です。私達が、しっかり
  しないと、私達という国は、いつまでも、そう長くは
  住みやすい国にはならないでしょう。

  自分の生き方の最終的な責任者は自分なのです。
  このことを忘れると、自己管理が嫌になってきます。


  たとえ、誰も見ていなくても、私達は自分がサボって
  いるかどうか、自分では、薄々知っているはずです。
  人がどう言おうと、心のなかで、自分がさぼっている
  場合には、決して、自分をごまかせませんから。
 

  自分の問題は、自分が解決する主人公だという気持ちを
  忘れないようにします。そういう気持ちがあれば、将来
  少々の難問にぶち当たっても、自分のこととして、粘り
  強く対処する気持ちになっていくはずです。

  それと同時に、自分を管理する力がついてくるのを、
  感じることが出来るでしょう。


  簡単なことのようで、意外と自分のことは人に頼って
  しまう癖がついているものです。自己管理とは、本来、
  自分を管理するという、権利なのです。

  そのことに気がついた時、自己管理が嫌だとは、もう
  思わないのではないでしょうか。

  自分の将来は、”今”の自分にかかっているのです。


  自己管理と一口に言っても、色々とあります。

  体調、食事、時間、心、頭、沢山ありますが、
  どれも、大事なのです。全てが大事なのです。

  ですが、まずは、”時間”の管理をしてみましょう。
  これは、お金もかかりません。一番初歩的なことです。

  具体的には、時間がくれば、体操や食事、心のケア−
  頭を使う作業をするように、習慣づけることです。

  作業を習慣づけ、小さな成果を積み重ねることによって、
  自分でも知らない間に、飛躍的に進歩している日を実感
  できる日が必ず訪れるでしょう。

  (この現象を、”連続性の不思議”と表現します) 


  もう少し具体的に、自己管理の例について考えて見ます。
  まず、自分の心の動きの傾向について考えてみましょう。


  自分が失敗をするときの行動や考え方のパターンに
  気がついているでしょうか。

  誰でも、少なからず、こうした、悪い癖やパターンを、
  ”知らず知らず”の内に、身に付けてしまっています。

  大抵の人には、行動パターンがあるのです。

  Aさんは、性格は、穏やかで、丸いけれど、飽きっぽく、
  注意が他にいってしまうので、作業が中々、進まない。

  Bさんは、非常に、目的意識が高く、意志も強いので
  普段どおりなら、成果を上げる。でも思わぬハプニングが
起きると、融通性がなく、一気に崩れてしまう。

  Cさんは、理性的に動くタイプであるけれども、感情を
  表現したり、意見交換するのが苦手で、対人関係がうまく
  いかず、自分の苦手なことになると、投げ出してしまう。

  等など、

  #私はどれにも、あてはまらない、

  #私は、AさんとBさんの両方が、時と場合にようって、
   出てくることがある、

  #私は、特に失敗するパターンなどは、意識したことがない、

  色々、反応があると思います。

  失敗のパターンなど、人それぞれで、沢山の種類があって、
  当然のことです。同じ人でも、日によって変わることも
  あるのは、もちろん当然のことです。

  ここで、頭に、置いておかなければならないのは、

  誰でも、少なからず、こうした、悪い癖やパターンを、
  ”知らず知らず”の内に、身に付けてしまっているという
  ことです。

  ”知らず知らず”の内・・・なのです。   
 
  大抵の場合は、生まれ持った性格に応じて、傾向はあり
  ますが、成長する環境によって、悪い癖が自然に身に
  つき、やがては、その人の人格の一部になるようです。

  やがて、癖によって、行動パターンが現われてきます。


  癖は、自分では、”普段は気がつかない”ことです。

  自分の癖は、何事か問題が起こるまで、または、失敗を
  するまでは、なかなか、気がつかないものなのです。

  失敗をして初めて、自分の行動パターンを意識出来ます。

  せっかく、自分の行動パターンに”気が付いた”のに、
  この機会を、放っておくのはもったいないことです。

  失敗をした!と感じた時には、よく、その時の自分の
  心の動きを見つめて、自分にはこういう傾向があると
  把握しておくことは、後々、非常にためになるのです。

  失敗を他人のせいにしたり、失敗した自分を頭から
  否定するだけで終わるのは、非常にもったいないこと。
  失敗でこそ、自分のパターンが浮き彫りになるのです。

  失敗した自分を、完全に否定したい気持ちは理解でき
  ますが、同時に、その、自分の素直な気持ちを認めて
  自分の本心や、心の底の欲望を意識することも大事な
  ことです。ああ、自分はこういう欲望があるのだなと。

  自分を責めてばかりでも、自分は分かりません。

  何か、行動を起こしている以上は、何かが起こるのです。
  失敗を嘆いてばかりいるのでは、もったいないことです。

  それよりも、自分を、冷静に、観察してみます。

  そして、何か気がつくことがあれば、次に、同じような
  ことが起こった時に、自分の心の動きを感じて、予想が
  される、悪い方向へ行かないように、うまく感情をコン
  トロールするための予測の材料とします。  

  失敗を、活かす方法を考えるのに、時間を割くのです。
  そのためにも、自分の行動パターンを見つめます。


  ここで、自分の素直な気持ちも認めると書きましたが、
  これについては、もう少し慎重に考えて、補足しておく
必要があります。


  自分の心の動き、そして、感情というものは、
  もしも自分が、自分というの国の”王様”だとすると、
  自分の国の”大衆”にあたります。

  国民や大衆というものは、とてつもないパワーを発揮する
  反面、あなたが押し殺したり、管理を甘くしてしまうと、
  暴動をおこしたり、良くも悪くも、”欲望のまま”に
突っ走ってしまう危険を持っています。

  もし自分が王様だとしたら、そのような、大衆の気持ちや
  感じ方をよく理解する必要があります。

  つまり、決して、暴走して失敗をしたりしないように、
  エネルギーの方向をうまく示して、コントロールをする
  必要があるのです。

  コントロールとは、押さえ込むことではありません。
  かといって、暴走させることでもありません。


  自分の気持ちも素直に認めてあげて、その上で他人と、
  自分自身にとって、両者にためになるように、方向
  付けをすることです。それが、コントロールです。


  先ほど書いたように、失敗した時とは、実は、心を管理
  する手掛かりをえるための良い機会でもあるのです。
  失敗には、決して、損なことばかりがあるわけでは、
  ありません。見方を変えれば、チャンスです。

  それは、なぜでしょうか。

  よくよく、観察すると、失敗に際しては、必ず、自分
  の心の動きの傾向、欲望など、何か、思考のパターンが
  見られるはずです。

  そのパターンには、自分の生の感情や、願望が潜んでいる
  ことが多いのです。自分が、どういう思考の傾向がある
  のか、自分を知ることが、失敗を通して分かるのです。


  まず、自分の失敗を分析して、自分を知ることです。
  自分の欲望や希望、そして行動や思考のパターンを
  分析して知ることです。

  そして、自分の行動や思考のパターンが分かったら、
  今までの思考パターンが、自分にとって、今後は、
  悪いように働かないように、失敗をよく分析し、
  コントロールする習慣を身につけることを心掛けて
  みるのです。

  自分の失敗のパターンをコントロール出来るのは、
  本来は、自分しかいないのです。実際に、自分の
  人生の主役は、まぎれもなく、自分なのですから。
  そうした意識が、自己管理につながっていきます。

  けれども、やはり、

  #本当に自分は、自己管理が出来ているだろうか。

  誰でも、普通は、心配になります。

  自信を持って、自分は自己管理が出来ていると
  言い切れる人は、かなり、少ないはずです。

  自己管理とは、時々でなく、毎日することです。

  自分の日々の作業内容を、自分の目で、やや厳しく、
  見直してみることです。

  そして、うまく行っていない時には、問題の
  ポイントは何なのか思いを巡らすことです。


  では、具体的にどうすれば、自分の作業に
  問題がないか、手軽に、かつ確実に見直して
  自己管理をすることが出来るのでしょうか。

  それは、今までとり続けてきた、作業記録を、
  パラパラと見直すことです。これが、非常に
  自己管理に役に立ちます。

  じっくり見直す前に、まずはパラパラと見ます。
  大まかに見た後、じっくり見直します。

  作業記録以外のプライベートな日記があるので
  したら、なおさら、良いのです。別の視点から、
  思わぬ発見があるものです。


  以前、作業の記録は、プライベートな記録とは
  別にしておいた方が、後で整理がしやすいかも
  しれません、と書いたことがあります。

  管理するものが、複数ある場合は、大まかに分けて
  記録しておくと、管理がずい分と楽になります。

  分類して記録する、とは、例えば、

  お金、予定表、仕事、プライベート、健康、
  このように、自分が管理したい項目に合わせて、
  記録の方法を、分けて考えてみることです。
  (しかし、あまり細かくはしないこと。)

  そして、記録はつけるだけでなく、使いましょう。

例えば、

  初めの目標に対して、時間の使い方はどうだったか。
  お金や、予算は、予定どおりに管理できたか?

  健康への配慮はどうだったか。一つのことではなく
  色々な角度から、自分のことを、客観的にみてみます。

  気が付いたことを書き出せば、沢山、「見る項目」
  があることに気がつきます。
  
  そうした、日記を読み返すような、こまめな日常の
  自己管理を、習慣にしてしまうことが第一歩です。


  習慣とは、自分がつくった、新しい自分です。
  内なる声となって、自分を助けてくれるものです。

  甘い誘惑に流されそうな時に、習慣でつくり上げた
  自分の中にある声が、感覚としてですが、「もう
  そろそろ、止めた方が良いよ」等と、さりげなく
  アドバイスしてくれるでしょう。

  「良い加減」というものを、教えてくれるのです。


  しかし、それでも、自己管理とはつい甘くなって
  しまうものです。自己管理は、本当に難しいのです。

  そこで、日記を読み返すことに、加えて、お勧め
  する方法が、標語をつくって普段から目に留まり
  やすい所に貼ってしまう方法です。


  標語を貼るのが恥ずかしい人は、人目につく壁では
  なく、さりげなく、自分しか気がつかない場所でも、
  秘密に貼っておくと、良いでしょう。

  最近では、壁でなくても、自分のパソコンの
  スクリーンセーバー(パソコンをしばらく、
  使わずにいると、自動的に切り替わる画面)に
  表示されるようにしておくのも面白いです。


  書いておくものは、標語ではなく、自分が心を
  動かされた言葉、励まされる言葉でも良いのです。

  壁に貼っておくと、同じように役に立ちます。
  ことわざ、格言、尊敬する人のことば、・・・
  役に立ちそうなら、別に、何時も良いのです。

  本を読んだり、人から聞いたりして、自分で良い
  言葉だと思っても、しばらく目の中に入らなければ、
  その言葉でも、忘れてしまうのが普通です。

  そして、いつか、頭の中から風化してしまいます。

  その大事な言葉が、本当に、自分の一部になるまで、
  自分にとって役に立ちそうな言葉を、壁などに貼り
  出して、目にとまりやすいようにしておくことは、
  日頃の自己管理の助けになるでしょう。

  恥ずかしいとか、馬鹿馬鹿しいと思わずに、
  目に見える場所に、標語や感動した言葉を貼るのを
  試してみると良いでしょう。



  以上、自己管理の大切さ、そして、手軽に出来る
  具体的な方法の例を書いてみました。

  
  最後に、なりましたが、

  自己管理が出来る = 強い意志を持つ

  この関係は、正しいのでしょうか・・・?

  間違ってはいないとは思いますが、意志を強く
  して、歯を食いしばって辛抱するのは続きません。

  そして、長続きしないなら、その効果も疑問です。


  それよりも、今、ここで少し我慢したら、後で
  こういう楽しいことがある、そういう楽しみを
  心に描きながら、自分をうまく管理していくのが
  自己管理の”コツ”ではないかと思います。


  苦しみの中にも、楽しみを見つけて感じること。

  楽しみを動機にする方が、長続きするでしょう。
  辛抱と楽しみを合わせた、長めのプランを立てて
  無理なく続ける環境をつくることです。  


  自己管理は、まとめてするものではありません。
  
  夏期にしたように、毎日、出来るだけこまめに、
  振り返る習慣をつけるのです。それも自己管理です。

  つまり、作業記録をつけ、資料はファイルに整理し、
  マニュアルを作成して、定期チェックをするのです。

  これを習慣に出来ていれば、自己管理は自然に出来て
  いることになります。気負ってすることでも、ありません。


  今までにつけてきた記録を、この機会に読んで、
  自分の身の回りのこと全てを、総合的に見直してみます。

  日頃のチェックだけでは、気がつかなかった、自分の
  癖やパターンに気がつけば、大収穫です。それが、
  難問解決へ向けても、大きな前進になるヒントです。