難問について考えるトップページ > 悩んだ時のメッセージ > どうして作業の中断なのか


  今まで、まるで、おまじないのように、
継続、継続と、繰り返し、繰り返し書いてきました。

  それでも、うまく行きそうにないとき、
  一度、考え抜いて、試行錯誤して、それでも、
  全く全然うまく行かないときには、一度その作業を
  止めて、頭を空っぽにして、忘れてみましょう。


  #そんなことをして、大丈夫でしょうか。

  #せっかく、今まで続けてきたのに、水の泡になって
   しまうのでは・・・

  そういう反応された方は、中断しても大丈夫でしょう。


  とにかく、一度その作業を止めて、頭を空っぽにして、
  忘れてみます。

  せっかく続けてきたのに、”もったいない”、

  そういう反応の人は、今まで地道に物事に真剣に取り組ん
  できた証拠だからです。

  少々、止めても、大きな問題はありません。

  それは、人間には、”耐性”というものが備わって
  いるからです。長期間、継続して努力をコツコツと
  続けていた人は、意識しなくても、必要な時には、
  何をすれば良いのか、体や頭が覚えているものです。

  本当に必要な時に、無意識に頭や体が動くのです。
  真剣に努力した後には、少々、崩しても大丈夫です。

  では、どのくらい努力したら、どのくらい崩しても
  大丈夫なのでしょうか?

  実は、その見極めは、そう簡単ではないのです。
  自分で経験して探るしかありません。

  しかし、物事を意識的に中断して、自分の感覚で、
  中断する頃合を、感覚で知るということは、
成功しても、失敗しても、とにかく
 自分を知ることになり、自信につながります。
  
  勇気を持って、作業を中断することを試してみる
  価値は必ずあります。


  話を元に戻してみます。

  ほとんど打てる手はつくしたけれど、結果が出ない。
  疲れたな、そう思ったら、一度、他の作業に頭と体を
  使ってみます。

  いざとなったら、頭をからっぽにして、現状に
  こだわらず、ペンディング(保留)にしてみましょう。

  むしろ、頭を空っぽにして、他の作業をしてみる方が、
  別の、大きな効果があるのです。後でそれを説明します。


  けれども、

  #中断? それは良い、ちょうど嫌気がさしてきた
   ところだったんだ・・・

  #作業を継続してやるのはもう飽きた、止めよう!


  そのように、反応された方もおられることでしょう。

  そのような反応の方は、もう一度だけ確認です。


  まず、”本当に”、作業に取り組む前に、毎回、
  意識的に、気分良く始めようとしていますか?

  長時間、まとめて作業をしていませんか?  

  記録、整理、チェック、その他、”作業を振り返る”
  習慣を、こまめにしていましたか?

  基本的な部分を、もう一度見直してみてください。

  この基本的なことをしていないのに、うまく行って
  いないというのは、まだ、中断には早過ぎます。

  もう一度、基本に立ち返った方が早道です。


  それでもなお、その作業による成果が、思わしく
  ないと感じる時には、やはり、一度、作業自体を
  中断してみます。


  考え抜いても、解決の糸口が、全く分からない時には、
このように、意識的に、作業を中断することにより、
解決の糸口が、思わぬところから見つかることが、
しばしばあるからです。

  今の自分の視点では、いつまで経っても、問題が
  解決しない場合があります。努力の割に成果が出ません。

  けれども、一度、作業を中断することにより、今まで
  の視点とは、全く別の、新しい角度から、物事の本質が
  見えるときがあるのです。

  通常は、そうした、頭のリセット(開放し休めること)は、
  本人が希望しなくても起こるものです。


  体が、痛みで、言うことを聞かなくなったりします。
  状況が、最悪になり、一歩も動けなくなる時もあります。
  疲れてぐっすり眠ってしまうことも、そうした、自然の
  リセットの一つです。

  今度は、それを、自分から”意識的に”行ってみます。


  でも、寝たい時以外に、本当に寝るわけには行きません。

  その時は、別の作業にエネルギーの矛先を向かわせます。
  思いがけないところから、難問解決への糸口が
見つかることが、多いものなのです。

  あわただしい日常の埋没してしまうと、同じ考え方しか
  出来なくなりがちです。大切なことと、大切でないことと
  その区別が、次第につきにくくなってくるのです。

  意識的に視点を変えてみることで、思わぬ発見があり、
  そして、新たな展開になることもあるのです。

  不思議な感じがしますが、本当の話です。


  では、今から、中断することの効果の例をあげてみます。

ヨガでは、精一杯きついポーズをとった後、床の上に
  仰向けに寝転んで、全身の力を抜き、深呼吸します。

  これも、ヨガではひとつのポーズ(アサナ)でもあり、
  ”シャバアサナ”と呼ばれています。

  この、くつろぎのポーズ(シャバアサナ)が非常に
  重要なのです。それには、理由があります。

  きついポーズをとった後、このくつろぎのポーズをとった
  瞬間に、ジワーっと、全身に血液が循環するのです。

  ヨガだけではなく、西洋の、筋力トレーニングでも、
  しっかりとウエイトで筋肉を使った後には、十分に休息を
  とります。適切なタイミングで、休息をとることで、筋肉は
  トレーニング前よりも強く太い筋肉に生まれ変わるのです。
  筋力トレーニングの世界では、”超回復”と呼ばれています。


  同じ考え方で、精一杯、ある程度の期間、作業を
  継続して、(目安は、毎日作業するとして、1ヶ月〜、
  数ヶ月くらい)それでも、問題に何の進展が見られない
  ときには、一度その作業を中断するのも良い方法です。

  意識的に、頭を冷やしてみようという発想です。


  他にも、中断すると良い例があります。 

最近注目をされるようになってきた、能力開発の分野
  の一つに、右脳と左脳に関する研究があります。

  左脳は、分析脳で、意識的な思考を主につかさどり、
  一方の右脳は、感覚的で、本能的な部分を支配して
  いると言われています。

  面白い現象があって、分析脳である左脳に、意識的に、
  多量の情報を連続的に詰め込みすぎると、”左脳詰まり”
  というものを起こしてしまい、働きが止まるそうです。

  それは、パソコンで沢山のソフトを一度に動かすと、
  ”フリーズ”するような感じだそうです。

  そういう時に、パソコンの電源を落として、もう一度、
  再起動させると元に戻ります。それと同じように、
  疲れた脳も、休ませてやると、脳に一気に情報が流れ
  込むようになるそうです。


  東洋の魔術の世界では、(西洋魔術でも同じかも
  しれませんが)、願い事を紙に書いて燃やすことにより
  意識的に願い事を忘れることで、固まってしまった心を
  解き放ち、新たな展開に持ち込むというテクニックを
  使うことがあるようです。

  これも、忘れることで、流れを意識的に変える手法の
  一つかもしれません。

  忘れることは、時に、良いことでもあるのです。


  実は、自分の心のスイッチを、自分でオン、オフする
  この手法は、昔から知られている方法です。
  
  東洋の武道では、この、オン、オフについて、
  自分でコントロールすることが必要になります。
  オンだけではなく、オフも同じくらい大事なのです。

  一見、対極の意味を持つように思えますが、実は、
  オンとオフで、ワンセットです。

  反対の性質を持っているものは、反発するだけでは
  なく、互いを必要としているとも言えます。

  
  ヨガや武道だけでなく、タイから伝わるルーシーダットン
  などもそう。東洋の体の使い方や、民族舞踏等でも、
  ”心身の浄化”というものと同時に、陰と陽の
  バランスの考え方を基本にして、大事にしています。

  剣道では、相手を剣先で攻める時に、虚と実というもの
  を意識します。呼吸にしたがい、虚と実が入れ替わります。
  相手が実、自分が虚の時に、攻めても打ち崩せません。 

  この、”虚”と”実”というものも、”陰”と”陽”の
  考え方と同じようなことです。

  ”実”(何かをを得ようとする)ならば、その前に、
  ”虚”(何かを吐き出す)必要があるということです。

  太極拳では、移動するときには、必ずどちらかの軸足に
  自分の体重(または重心)を移してから、滑らかに移動します。

  太極拳で、「双重の誤り」とも言われる言葉があります。
 「双重なれば則ち滞る」、つまり、両足に均等に体重を
  のせていると、重心の移動が滑らかにいかないことを
  戒めた言葉です。まず、重心を片方へ寄せます。

  また、左回りの動作をした後は、必ずと言って良いほど
  右回りの動きもセットにして行います。これは、片方の
  動きは吐き出す作用を、もう片方は、吸い込む作用を
  持つからだと言われています。 

  また、私たちが、毎日、何回ともなく繰り返している
  呼吸でも同じことが言えます。

  呼吸が止まることは、死を意味します。呼吸は命です。
呼吸といえば、文字通り、呼いて(はいて)吸うことです。

  ところで、

  息を吐くことと、息を吸うことと、どちらが先なの
  でしょうか? 普段はあまり意識しないことです。

  「能に学ぶ身体技法」(安田登著)に書いてある
  ことを、参考に書いてみますが、洋の東西で、差が
  あるようです。

  英語では、呼吸は”インスパイアー(inspire)”です
  から、息を吸うこと(in)を、より強く意識して、
  呼吸しているようです。

  一方、漢字では、”呼吸”ですから、呼=息を吐く
  方が、吸=息を吸う、よりも最初にくると考えている
  ようです。吐くことによって、自然に息が吸えると
  いう考え方です。

  呼気(息を吐く)も、吸気(息を吸う)も共に大事なの
  ですが、スポーツでは、呼気(息を吐く)の練習をする
  方が、息が上がりにくくなるようで、効果的だそうです。

  吐く息を極めれば、自然と息は吸えるそうです。


  ここにも、難問解決への大事なヒントが隠されています。

  つまり、息を吐き切る=全力でやりつくす と同じです。
  まず、全力を出し切る練習をしてみましょう。

  そうすれば、自分では意識しないところで、自分に必要な
  ものが、自然から入ってくるかもしれません。

  無理なく全力を出し切ったら、一度中断です。
  しばらくして、変化が現われることに期待します。
  新しいアイデアが、入ってくる状況に近づいてきます。 

  さて、

  次に、作業を中断し、何か他のことをするのですが、
  ここで、視点を変えるための、手軽で、しかも強力な
  方法が、一つあります。

  強力という理由は、あなたの周りの滞った雰囲気まで
  一緒に変えてしまう効果があるからです。

  何かを言えば、ピンときた方もおられるでしょう。

  それは、”掃除をすること”なのです。
  苦手な方ほど、試してみる価値があります。


  掃除の中でも、水を使う場所、そして、ガラスや鏡など、
  光を反射するものを磨くのは、風水の考え方からも、
  効果が高い掃除の方法です。

  でも、別に何でも良いのです。目につくものを、掃除し
  たり、整理してみましょう。机の上でも構いません。

  日頃、掃除がおろそかになってしまいがちなところ、
  お手洗いも非常に良いです。掃除をしてみます。

  掃除によって、雰囲気を変えることは、春期に書いた
  ことがありますが、秋期でも、同じです。


  もう一つ、視点を変えるための、手軽で、しかも
  強力な方法がありました。それは、春期に説明を
  したことですが、買い物をしてみることでした。

  スリリングなことに、一瞬でも気持ちを持っていく、
  瞬間的でもワクワクすることへ意識を飛ばすのです。

  予算に合わせた、適当な買い物も、身の回りの滞った
  気を断ち切り、循環させるのに役立ちます。

  実際に買わずに、カタログを見るだけでも、気分に
  良いものです。一種の気分転換による効果です。

  http://ashita.yu-yake.com/dropship2.htm → 掃除用品へ
掃除と買い物の、二つの方法を組み合わせても
  良いかと思います。

  適当なものを買って、不要なものを整理するのです。

  なお、整理するとは捨てることだけではありません。
  きれいにしてしまったり、掃除をしたり、いつでも
  使いやすい状態にしておくことも、整理なのです。
  

  例えば掃除用品を、購入し、水を使って磨いて
  みます。トイレ掃除などは、そうした意味では、
  とても良いのですが、日常では避けてしまいがちです。
  しかし、そういう時でも、掃除道具をそろえると、
  ヤル気が出くるものです。

  少しユニークな掃除用具を集めてみました。
  →掃除用品へ
  http://ashita.yu-yake.com/dropship2.htm


  そもそも、物事は、予定どおりにはいかない
  ことが普通です。

  そう書くと、投げやりにしているように、感じ
  られるかもしれませんが、そうではなくて、
  最初に自分の心の中で描いていた筋書きとは
  違う形であっても、最終的には良い結果が出る
  ことの方が、実際には多いということです。

  気分を転換して、自然の発想に身を任せる
  時間を意識的にとると、事態が好転することも
  あるということです。

  全力で努力したのに、良い結果が出なかった時
  には、全く予想もしなかったことから、希望の
  光が見えてくることがあります。

  どうしようもない、みじめな状況から、思わぬ、
  良い展開をすることの方が、予定した、筋書き
  通りに結果を得ることよりも多いようです。


  最後に、もう二つ例を挙げておきます。

  頭を空っぽにすることと呼吸とは関係があります。

ヨガのポーズをとるときに、息をためる、クンバクと
  いう動作があります。クンバクは息を溜めることで、
  慣れてきたら、溜めた息を、お腹に落とす意識を持つ
  ようにする呼吸動作です。

  腹式(丹田)呼吸をするときも、鼻から吸った息を、
  胸から、下腹に充満させ、息を止めます。そして、
  体内に、明るい外の気が充満するのをイメージして
  いきます。

  作業を一度中断し、頭を空っぽにするタイミングは
  クンバクや、腹式呼吸で、息を下腹部に溜めること
  にも似ています。

  動作を止めるということは、実は、次の動作の
  準備であり、起点ともなっているのです。

  ”止める”のではなく、”溜める”ということです。

  紅葉の原理をご存知でしょうか。

  紅葉の時期に、葉の色が変わっていくのは、木が冬の
  準備のために、葉の付け根に”しきり”をつくり、
  葉でつくられた栄養(ブドウ糖やショ糖)が、葉の
  中で反応するため、おこるそうです。

  そして、次の再生の機会(春)に備えるそうです。
  転機が訪れるのは、今までの流れが変わる時です。


  沢山、例をあげてみました。そろそろ、まとめてみましょう。

  しっかり、作業を継続してもうまく行かない時は、
  変化を恐れず、少し冒険をするつもりで、今までの
  作業パターンを、あえて止めてみるのも、難問への
  取り組み方への、一つの強力な方法になります。

  あきらめることを、勧めているのではありません。

  良い思いつきは、予想しないタイミングで訪れることが
  良くあります。ひとしきり、全力で取り組んだ後は
  頭を空っぽにしてみてみます。

  漢字で説明すると、あきらめる=諦める、ではなく、
  あきらめる=明らかにする、全力を尽くした後、
  ひらめくことがある。そういう意味もあるそうです。